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Fractional CFO
財務制限条項
Financial Covenants
読み: ざいむせいげんじょうこう
定義
財務制限条項(Financial Covenants)は、金融機関との融資契約、シンジケートローン契約、社債発行契約等で、借り手の財務状態が一定水準を維持することを求める条項。違反(Covenant Breach)した場合、期限の利益喪失・金利引上げ・追加担保差入要求などのトリガーとなる。
典型的な条項
貸借対照表系
- 純資産額維持(例:「連結純資産を直前期末の 75% 以上に維持」)
- 自己資本比率維持(例:「自己資本比率 15% 以上」)
- 有利子負債倍率(Debt/EBITDA、例:「4.0 倍以下」)
損益系
- 利益維持(例:「2期連続経常赤字の禁止」)
- インタレスト・カバレッジ・レシオ(EBITDA ÷ 支払利息、例:「3.0 倍以上」)
キャッシュフロー系
- DSCR(Debt Service Coverage Ratio)(営業 CF ÷ 元利返済額、例:「1.2 倍以上」)。プロジェクト・ファイナンスで多用
その他
- 配当制限(一定水準を超える配当の禁止)
- 資産処分制限(重要資産の処分に貸し手の事前同意)
- 事業内容変更の制限
- M&A 実施の事前同意
実務上の論点
- Cushion(バッファ)の設計。財務計画に対して 10〜20% の下振れ余裕を持たせて設定する。ギリギリの設定は、想定外の四半期変動で抵触リスクが高い
- 計測タイミング。四半期末・事業年度末ごとに計測するのが標準。一時的な季節変動で抵触する設計は避ける
- 抵触時の対応プロトコル。Covenant Breach が発生した場合、(1) 即時貸し手に通知、(2) Waiver(権利放棄)取得の交渉、(3) 追加担保・金利条件変更の受入れ — の 3 段階で対応
- Cross-Default 条項との連動。1 本のローンで Covenant 違反が発生すると、他のローンも連動して期限の利益喪失となる場合がある。契約書の Cross-Default 範囲を精査
- M&A 局面での再交渉。Change of Control 条項と Financial Covenants を同時に再交渉する。新オーナー体制での新しい Covenant 設計を事前合意する
CFO・経営者視点での論点
- 月次モニタリング。四半期計測でも、月次で Covenant 指標を管理し、抵触予測がついた時点で早期に貸し手と対話する
- Covenant Breach の経営へのインパクト。Waiver 取得プロセス中は新規投資・M&A が制約される。Breach がシグナルとなり、取引先・従業員の信頼低下を招く可能性
- 契約時の交渉ポイント。CapEx・M&A の事前同意制ではなく通知制に変える、一時的な業績悪化を救済する Equity Cure 条項(株主からの追加出資で Covenant 回復を認める)を入れる — これらは将来の経営自由度を大きく左右する